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渡辺先生に聞いてみました
第10回
『渡辺先生とレーザー治療』

四半世紀でこんなにも普及したレーザー治療。渡辺先生はハーバード大学でいち早くレーザーの研究をスタートしました。

今回は、その歴史について伺いました。

1980年代、東大からNIHへの留学の話があったのですが、私が医局長だっため、すぐには留学できず、医局長の任期終了後にハーバード大学のマサチューセッツ総合病院(MGH)の皮膚科に留学することになりました。

当時のMGHの主任教授はフィッツパトリックと言う世界的に高名な先生でしたが、定年間近で、私の給料は出せないと言うことで、次期主任教授になるジョン・パリッシュ教授にお願いしたところ、レーザーの研究をするのであれば、私の給料と研究費を出すと言うことになりました。

当時日本ではレーザー治療によって瘢痕となる患者が多かったので、レーザー治療の研究は不本意でした。しかし留学後、当時レジデントであったロックス・アンダーソン(現在米国レーザー医学会の第一人者)と一緒に動物実験を行い、アザを跡かたなく消すためのレーザーの照射条件を明らかにすることができました。
これがselective photothermolysis(選択的光熱融解)というもので、これによってレーザー治療は一変しました。

帰国後、帝京大学に異動し、工業用のレーザーを用いて研究を進め、その後東芝メディカル㈱とQスイッチルビーレーザーを共同開発しました。現在数多くの書籍を執筆ており、15年ほど前からタイにある国立皮膚科研究所で毎年東南アジア諸国の皮膚科レジデントに年間20時間ほどのレーザー医学・美容皮膚科の講義をおこなっています。

Qスイッチルビーレーザーの出現は、「あざ」で長く苦しんでいた方々には福音となりました。さらに年齢のせいとあきらめていた「しみ」、消すという選択肢がなかった「ほくろ」など美容の分野で多くの方々に認知されるようになりました。

渡辺先生から、「Qスイッチルビーレーザーで多くの色素病変の治療は可能です。ただ、どんなに優れた機器をもってしても誤用・乱用をすれば患者様に不利益をもたらします。正しい知識と経験で、Qスイッチルビーレーザーが有効な病変かどうかを判別することが治療成功の鍵です。」

レーザー治療が当たり前のこととなった今日ですが、私たちの大切な体の器官「皮膚」に係わることです。慎重にそして恐れずにご相談にいらしてください。

エピローグ:渡辺先生は世界的に最も権威のある「ニューイングランドジャーナルオブメディスンという医学雑誌に太田母斑のレーザー治療を1994年に発表しました。素晴らしいですね。

次回の渡辺先生の診察は、年明け2021年1月21日㈭となります。